通話後処理(ACW)を減らす方法
通話後処理時間(ACW)は、コンタクトセンターの生産性や応対品質を左右する重要な業務です。本コラムでは、記録作成の負荷や入力漏れ、要約品質のばらつきといった課題を整理し、音声のリアルタイムテキスト化と生成AI要約を活用して、後処理時間の短縮と記録品質の平準化を図る方法を解説します。

<目次>
1. 音声テキスト化と生成AI要約で、記録業務を効率化する
コンタクトセンターの生産性を測るうえで、重要な指標の一つが、通話後処理時間(ACW:After Call Work)です。
ACWとは、お客様との通話終了後に、応対履歴の入力やシステムへの登録、確認事項の整理、引き継ぎなどを行う時間を指します。この時間が長くなるほど、オペレーターは次の電話に対応できず、センター全体の稼働率や応答率にも影響します。
「オペレーターが記録作成に追われ、次の電話に出られない」「入力漏れや記録のばらつきが気になる」といった課題を抱える管理者の方も多いのではないでしょうか。
「コールセンター白書2025」によると、平均後処理時間は6分です。分布を見ると、「3〜5分未満」が33%で最も多く、「5〜10分未満」も26%を占めています。1件ごとの時間は短く見えても、日々の応対件数に換算すれば、大きな業務負荷になっていることが分かります。
本コラムでは、通話後処理に時間がかかる原因を整理し、音声のリアルタイムテキスト化と生成AI要約を活用して、後処理時間と記録品質の改善を図る方法を解説します。
2.通話後処理(ACW)が抱える3つの課題
1)記録作成そのものに時間がかかる
通話後処理では、会話内容を思い出しながら応対履歴を入力し、必要な情報を整理する必要があります。問い合わせ内容が複雑な場合や、長時間の通話、苦情対応などでは、記録作成にも時間を要します。
また、CRMや業務システムなど、複数の画面に情報を入力する必要がある場合、オペレーターの負担はさらに大きくなります。
2)重要な情報の入力漏れが起こりやすい
通話終了後に記録を作成する場合、会話中の細かなニュアンスや、お客様からの重要な要望を十分に残せないことがあります。
聞き返しや確認が必要になれば、オペレーターだけでなく、SVや次に対応する担当者にも負荷がかかります。結果として、お客様に同じ内容を改めて確認することにもつながりかねません。
3)要約の質が担当者ごとにばらつく
応対履歴は、オペレーターの経験や記録スキルによって、内容に差が出やすい業務です。
要点が整理され、次の担当者がすぐに状況を把握できる記録もあれば、必要な情報が不足していたり、長文で要点が分かりにくかったりする記録もあります。
通話後処理の課題は、単に時間がかかることではありません。誰が見ても次の対応につなげやすい、一定の品質を備えた記録を残せるかどうかも重要です。

3.解決の鍵は、「通話後に書く」から「通話中に整える」への転換
こうした課題を改善するには、オペレーター個人のタイピングスキルや経験だけに頼るのではなく、記録作成のプロセスそのものを見直す必要があります。
有効な手段の一つが、音声のリアルタイムテキスト化と生成AIによる要約の組み合わせです。
通話内容がリアルタイムにテキスト化されれば、オペレーターは会話を聞き返すことなく、発言内容を確認しやすくなります。通話中にメモを取る負担も抑えられるため、お客様との対話に集中しやすくなります。
さらに、通話後には、生成AIが会話全体を要約し、応対履歴のたたき台を作成します。オペレーターは、AIが整理した内容を確認し、必要に応じて修正したうえで登録することで、ゼロから記録を作成する負担を減らせます。
重要なのは、AIにすべてを任せることではありません。AIが会話内容の整理を支援し、人が最終確認と判断を担うことで、効率と正確性の両立を目指します。

4. 要約の「型」を決めることで、記録品質を平準化する
生成AI要約を活用する際は、単に会話を短くまとめるだけでは十分ではありません。現場で必要な情報を、一定の形式で残せるように設計することが重要です。
たとえば、以下のような項目で要約フォーマットを定めます。
- お問い合わせ内容
- お客様の状況・ご要望
- ご案内・回答した内容
- 確認事項・注意事項
- 次回対応の要否
- 引き継ぎ事項
さらに、住所変更、契約内容の確認、苦情対応、支払いに関する相談など、問い合わせの種類ごとに必要な項目を設定することで、より実務に即した応対履歴を残しやすくなります。
こうした「型」を整えることで、オペレーターごとの経験や記録スキルに依存しにくくなり、記録の抜け漏れや表現のばらつきを抑えることにつながります。

5.効果を測るために確認したい指標
通話後処理の改善では、導入前後の変化を数値で確認することも欠かせません。
代表的な指標としては、次のようなものがあります。
- 平均後処理時間(ACW)
- 一人当たりの応対件数
- 応対履歴の修正・追記件数
- 引き継ぎ時の確認工数
- オペレーターおよびSVの業務負荷
たとえば、月間応対件数が1万件のセンターで、1件当たりの後処理時間を1分短縮できた場合、月間で約167時間分の作業時間を削減できる計算です。
後処理時間の改善は、単なる時短ではありません。オペレーターが次の対応に移るまでの時間を短縮し、限られた人員での応対力を高める取り組みでもあります。

6.音声テキスト化サービス「Omnis」で実現する、通話記録業務の効率化
アイティフォーが取り扱う「Omnis」は、コンタクトセンター向けの音声テキスト化サービスです。
オペレーターとお客様の通話をリアルタイムにテキスト化・要約し、音声認識、テキスト化、感情分析などの機能をクラウドサービスとして提供します。通話内容を可視化することで、オペレーター業務の効率化と応対品質の向上を支援します。
Omnisを活用することで、次のような効果が期待できます。
- ACWの削減 応対履歴をゼロから入力する負担を減らし、通話後処理の効率化を図ります。
- 応対履歴の品質平準化 あらかじめ設定した要約項目に沿って会話内容を整理することで、記録の粒度や表現のばらつきを抑えます。
- 応対品質の向上 オペレーターが記録作成に追われる状態から、会話内容の確認やお客様への対応に、より集中しやすい環境づくりを支援します。

通話後処理の時間は、単なる事務作業の時間ではありません。コンタクトセンターの生産性、応対品質、そしてお客様の待ち時間にも影響する重要な業務です。
記録作成の負荷や、応対履歴の品質のばらつきに課題を感じている場合は、音声テキスト化と生成AI要約を活用した業務プロセスの見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
出典:リックテレコム発行、月刊コールセンタージャパン編集部・編『コールセンター白書2025』78〜79頁
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公開日:2026年07月28日
最終更新日:2026年07月28日
監修:株式会社アイティフォー CTIシステム事業部
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