コンタクトセンターやコールセンターにおいて、顧客満足度を左右する重要な要素の一つが「応対品質」です。丁寧な言葉遣いや正確な案内はもちろん、顧客の意図をくみ取った対応や、状況に応じた適切な案内など、オペレーターにはさまざまなスキルが求められます。

一方で、多くのコンタクトセンターでは、「オペレーターによって応対品質にばらつきがある」「SV(スーパーバイザー)がすべての応対を確認できない」「評価が担当者の経験や感覚に左右されてしまう」といった課題を抱えています。

こうした課題の解決策として注目されているのが、音声認識や感情分析などのAI技術を活用した品質管理です。

本記事では、コンタクトセンターで応対品質にばらつきが生じる原因や従来のモニタリングの課題を整理するとともに、音声認識や感情分析を活用して、応対品質の向上やオペレーター育成につなげる方法について解説します。

安心して通話するオペレーターのイラスト

1. コンタクトセンターで応対品質にばらつきが生まれる原因

コンタクトセンターでは、一定の応対品質を維持するため、トークスクリプトやマニュアルの整備、研修、SVによるモニタリングなど、さまざまな取り組みが行われています。それでも、すべてのオペレーターが同じ水準で対応することは簡単ではありません。

①オペレーターの経験やスキルに差がある

新人と経験豊富なオペレーターでは、商品・サービスに関する知識だけでなく、顧客の話を聞く力や質問への対応力、状況に応じた判断力などにも差があります。マニュアルを整備していても、実際の問い合わせ内容や顧客の状況はさまざまです。そのため、オペレーターの経験やスキルによって応対品質に差が生じることがあります。

②SVがすべての通話を確認することは難しい

応対品質を維持するうえで重要な役割を担うのが、SVによるモニタリングです。しかし、1日に数百件、数千件の通話が発生するコンタクトセンターでは、そのすべてを人が確認することは現実的ではありません。実際には、一部の通話を抽出して確認するケースが多く、問題のある応対や、反対に優れた応対が見逃されてしまう可能性があります。

③評価が属人的になりやすい

応対品質の評価基準を設けていても、「丁寧な応対だったか」「顧客の意図を適切に理解していたか」といった項目には、評価者の主観が入りやすいものです。評価するSVによって判断基準が異なれば、オペレーター側も「何を改善すればよいのか」が分かりにくくなります。応対品質を安定させるためには、できるだけ客観的なデータに基づいて応対を把握・評価できる仕組みが重要になります。

コンタクトセンターで応対品質にばらつきが生まれる原因の図

2. 応対品質のばらつきがもたらす課題

応対品質のばらつきは、単に「電話対応の良し悪し」にとどまる問題ではありません。

たとえば、同じ問い合わせでも、担当するオペレーターによって説明内容や回答が異なれば、顧客は企業そのものに不信感を持つ可能性があります。また、顧客の意図を十分にくみ取れなければ、問い合わせが解決せず、再入電につながることも考えられます。

応対品質のばらつきによって、次のような課題につながる可能性があります。

  • 顧客満足度の低下
  • クレームや再入電の増加
  • 解約や顧客離れ
  • オペレーター教育の非効率化
  • SVのモニタリング・指導負担の増加

さらに、優れた応対をしているオペレーターがいても、そのノウハウが個人の経験にとどまってしまえば、組織全体の品質向上にはつながりません。

重要なのは、個々の応対を評価するだけではなく、「良い応対」「改善が必要な応対」を把握し、その知見をセンター全体の教育や業務改善に生かすことです。

応対品質のばらつきがもたらす課題の図

3. 従来のモニタリングによる応対品質管理の限界

従来の応対品質管理では、SVが録音された通話を聞き、評価シートなどを使って採点する方法が一般的です。もちろん、人が実際の会話を聞いて評価することには大きな意味があります。

一方で、通話件数が多くなるほど、モニタリングできる件数には限界があります。たとえば、10分間の通話を確認するためには、基本的に同程度の時間が必要です。さらに評価やフィードバックまで行えば、SVの負担は一層大きくなります。

その結果、

  • 「一人につき月に数件しか確認できない」
  • 「問題が起きた通話を中心に確認している」
  • 「忙しい時期には十分なモニタリングができない」

といった状況が起こりやすくなります。

また、ランダムに抽出した数件だけでは、そのオペレーターの応対品質を正確に把握できるとは限りません。

そこで求められているのが、テクノロジーを活用して、より多くの通話を効率的に把握する仕組みです。

従来のモニタリングによる応対品質管理の難しさを表す図

4. 音声認識で通話内容を可視化する

応対品質管理を効率化する技術の一つが「音声認識」です。音声認識を活用すると、顧客とオペレーターの会話をテキストデータとして記録できます。

従来、録音された音声は、実際に再生して聞かなければ内容を把握することが困難でした。しかし、会話をテキスト化することで、通話内容を目で確認したり、特定のキーワードを検索したりすることが可能になります。

たとえば、

  • クレームにつながりやすい言葉が含まれている通話
  • 特定の商品・サービスについて問い合わせている通話
  • 長時間化している通話
  • 特定の表現やキーワードが使われた通話

などを抽出できれば、SVはすべての録音を最初から聞くのではなく、確認すべき通話を効率的に絞り込むことができます。

さらに、テキスト化された通話データを蓄積・分析することで、「どのような問い合わせが多いのか」「どのような説明で顧客がつまずいているのか」といった傾向も把握しやすくなります。

音声認識は、これまで「聞かなければ分からなかった通話」を、検索・分析できるデータへと変える技術ともいえるでしょう。

音声認識で通話内容を可視化する流れの図

5. 感情分析で顧客の反応や変化を捉える

音声認識が「何を話したか」を可視化する技術だとすれば、感情分析は、会話の中から顧客の感情やその変化を捉えるための技術です。

同じ言葉でも、話し方や声の状態などによって、その背景にある感情は異なる場合があります。感情分析を活用することで、顧客の不満やストレスが高まっている可能性のある通話などを把握し、優先的なモニタリングにつなげることができます。

たとえば、通話開始時には落ち着いていた顧客が、会話の途中から不満を強めている場合、「どのやり取りをきっかけに感情が変化したのか」を振り返ることができます。反対に、当初は不満を抱えていた顧客が、オペレーターとの会話によって落ち着いたケースが見つかれば、優れた応対事例として教育に活用することもできます。

つまり、感情分析は単に「顧客が怒っているかどうか」を判定するためだけのものではありません。顧客の反応とオペレーターの応対を関連付けて振り返り、応対品質を改善するための材料として活用することが重要です。

感情分析で顧客の反応や変化を捉えるイメージの図

6. リアルタイムモニタリングでオペレーターを支援する

AIや音声認識の活用は、通話終了後の分析だけにとどまりません。通話内容や状況をリアルタイムで把握できれば、SVによるオペレーター支援にも活用できます。

従来のモニタリングでは、問題のある応対が発生したとしても、通話終了後に録音を確認して初めて気付くケースがありました。リアルタイムモニタリングを活用すれば、対応が長時間化しているケースや、顧客対応が難航しているケースなど、注意が必要な通話を早期に把握しやすくなります。SVはすべての通話を常時聞き続けるのではなく、支援が必要な可能性の高い通話を優先して確認することができます。

これにより、SVの役割も「通話終了後に問題点を指摘する」だけではなく、「必要な場面でオペレーターを支援する」という方向へ広がっていきます。

リアルタイムモニタリングの流れの図

7. AIを活用した応対品質管理をオペレーター育成につなげる

音声認識や感情分析を活用すると、これまで把握しにくかったさまざまな通話データを取得できるようになります。しかし、データを収集するだけでは応対品質は向上しません。重要なのは、得られたデータをオペレーターの育成やセンター全体の改善につなげることです。

たとえば、改善が必要な応対を抽出して具体的なフィードバックを行うだけでなく、優れた応対を見つけて「なぜこの対応が良かったのか」を分析し、研修やロールプレイに活用することもできます。また、個々のオペレーターの傾向を継続的に把握できれば、それぞれの課題に応じた指導もしやすくなります。

AI活用で重要なのは、単にオペレーターを評価することではなく、育成や品質改善につなげることです。AIはSVに代わってオペレーターを評価するものではなく、SVがより多くの応対を把握し、より効果的な指導や育成を行うための支援ツールとして活用することが重要です。

これまでSVの経験や勘に依存していた部分にデータを組み合わせることで、より客観的で継続的な品質改善につなげることができます。

AIを活用した応対品質管理をオペレーター育成につなげる流れの図

8. 応対品質を「人の感覚」から「データで改善する仕組み」へ

コンタクトセンターの応対品質を高めるためには、オペレーター一人ひとりのスキルアップだけでなく、センター全体で継続的に品質を改善できる仕組みづくりが必要です。

音声認識によって通話内容を可視化し、感情分析によって顧客の反応や変化を捉える。さらにリアルタイムモニタリングによって、必要な通話を効率的に把握する。こうした仕組みを活用することで、限られたSVのリソースを有効活用しながら、より多くの通話から改善につながる情報を得られるようになります。

目指すべきなのは、AIによって人の判断をなくすことではありません。AIによる分析とSVの知見を組み合わせ、応対品質を継続的に改善していくことです。

個人の経験や感覚だけに依存した品質管理から、データを活用した品質管理へ。コンタクトセンター・コールセンターの応対品質向上に向けて、音声認識や感情分析の活用は有効な選択肢の一つとなります。

AIによる分析とSVの知見を組み合わせ、応対品質を継続的に改善していく図

コンタクトセンターの通話を可視化・分析する「Omnis」

アイティフォーの「Omnis」は、コンタクトセンターに蓄積される音声データを活用し、応対業務の効率化や品質向上を支援するソリューションです。音声認識による通話内容のテキスト化や、通話データの分析・可視化などを通じて、これまで人手に頼っていた通話確認や品質管理の効率化を支援します。

コンタクトセンターに蓄積されている膨大な「顧客の声」を、オペレーター育成や応対品質の改善、業務改善に活用したい企業におすすめです。

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公開日:2026年08月26日
最終更新日:2026年08月26日
監修:株式会社アイティフォー CTIシステム事業部
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