侵入されることを前提に考える。
「検知」と「対応」のスピードが命運を分ける理由
<サマリー>
✓ 従来のウイルス対策ソフト(EPP)だけでは高度な攻撃は防げない。侵入後の被害を最小化する「EDR」へのシフトが不可欠
✓ 攻撃者は、管理者が手薄になる深夜や休日を狙う。しかし、24時間365日の監視を人に依存する運用は、人材不足とアラート疲れで限界を迎えている
✓ 運用の壁を突破する鍵はAI。膨大なアラート分析と初動対応をAIが自律的に行うことで、運用負荷を劇的に下げながら強固なセキュリティ体制を実現できる
<目次>
DXやテレワークの普及によりサイバー攻撃の標的が拡大する昨今、ランサムウェアなどの被害はどの企業にも起こり得る身近な脅威です。これからのセキュリティ担当者に求められるのは、ゼロトラスト時代に対応した「侵入されることを前提とした防衛戦略」に他なりません。
被害を防ぐには、検知と対応のスピードが命運を分けますが、ここで多くの企業が「運用リソースの不足」という壁に直面します。本コラムでは、企業防衛の最前線と、この運用課題を根本から解決する最新のアプローチについて解説します。
ウイルス対策ソフト(EPP)とEDRの決定的な違い
企業のPCやサーバーに導入されている従来のウイルス対策ソフト、いわゆるEPP(Endpoint Protection Platform)は、「既知のマルウェアがシステムに侵入するのを水際で防ぐこと」を目的としています。例えるなら「オフィスの玄関を施錠し、不審者を入れないための鍵」です。
しかし、未知のマルウェアなど、現代の巧妙なサイバー攻撃は容易にこの鍵をすり抜けてきます。そこで近年急上昇しているキーワードが、EDR(Endpoint Detection and Response)です。
EDRの目的は「侵入を100%防ぐこと」ではなく、「侵入された後の不審な挙動をいち早く検知し、被害を極小化すること」です。室内に設置された高感度の防犯カメラであり、異常があれば即座に隔離措置を行う警備員でもあります。
マルウェアが社内ネットワークに侵入してから、重要なデータを暗号化したり外部に送信したりするまでには、一定の潜伏・調査の時間が存在します。EDRはこのわずかな隙に脅威をあぶり出し、初動対応を行うための強力な武器となります。
これらのツールを適切に連携させることで、外部からの不正アクセスやなりすまし、情報の不正持ち出しを防ぐ強固な防壁が完成します。
深刻化する「アラート疲れ」と「24時間365日監視」の壁
侵入前提の対策として不可欠なEDRですが、導入後に多くの担当者が「思わぬ壁」に直面します。それは「運用負荷の爆発的な増大」です。
サイバー攻撃者は、ターゲットとなる企業のシステム管理者が不在となるタイミングを意図的に狙います。金曜日の深夜、ゴールデンウィークや年末年始の長期休暇――。こうした「監視の目が手薄になる時間帯」こそが、彼らにとってのゴールデンタイムなのです。そのため、EDRの監視は「24時間365日」が絶対条件となります。
しかし、これを「人の手」で運用しようとすると、以下のような深刻な課題が発生します。
アラート疲れ
EDRは少しでも不審な挙動があればアラートを発報します。毎日大量に届く通知の真偽(誤検知かどうか)を確認する作業は、担当者に深刻な疲弊をもたらし、真の脅威を見落とすヒューマンエラーの温床となります。
専門人材の確保とコスト
高度な分析スキルを持つセキュリティ人材は市場で枯渇しています。24時間体制のSOC(セキュリティ運用センター)を自社で構築・維持するには莫大な人件費がかかり、外部ベンダーへアウトソーシングするにしても高額なランニングコストが重くのしかかります。
「EDRは導入したものの、アラートの波に飲まれて運用が破綻している」「夜間や休日の対応ができていない」という状態では、いざという時の防衛ラインとして機能しません。
人に依存する運用から、AIによる自律防衛へ
この「運用の限界」を突破し、セキュリティを劇的に効率化する最新のトレンドが「AI(人工知能)の活用」です。
これまで人間のアナリストが行っていたログの相関分析や、脅威度の判定をAIが代替することで、セキュリティ運用は全く新しいフェーズに突入します。
- AIが膨大なアラートを学習・分析し、誤検知を自動で除外。管理者は「本当に対処すべき危険なインシデント」だけに集中できます。
- 悪意ある挙動をAIが検知した場合、管理者の判断を待たずに、感染した端末をネットワークから瞬時にブロック。深夜・休日も自律的に対応します。
人の目による監視(SOC)に限界が見えつつある現在、AIによる24時間365日の自律的な防衛を取り入れることこそが、最も現実的で費用対効果の高いセキュリティ戦略と言えます。
まとめ:AI型EDRで「運用の限界」を突破し、強靭なセキュリティを
サイバーセキュリティの要は、最新ツールの「導入」から、いかに運用負荷を下げて「確実な対応体制」を築くかへとシフトしています。
- EPPからEDRへの移行:侵入されることを前提とし、被害を最小化する仕組みづくりが急務。
- 人海戦術の限界:24時間365日の監視を「人(SOC)」に頼る運用は、人材不足やコスト面で限界を迎えつつある。
- AI活用による自律化:AIによる自動検知・自動隔離が、管理者の「アラート疲れ」を解消し、夜間・休日の死角をなくす。
「EDRを導入したいが、運用できる人材がいない」「未知の脅威に対しても、自動で対応してくれる仕組みが欲しい」。こうした課題を感じているなら、AI型EDRサービスの導入が有効かもしれません。
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<この記事の監修者>
株式会社アイティフォー 通信システム事業部 セキュリティソリューション担当
通信キャリア、コンタクトセンター、ネットワーク、セキュリティ基盤などの領域において、企業・自治体・地域金融機関向けのシステム提案・導入支援を行っています。
公開日:2026年8月21日
最終更新日:2026年8月21日