ストアーズレポート2019年10月号掲載記事

スマホアプリRI-ppliリプリ
集客力やCRMの精度向上を支援

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ストアーズレポート2019年10月号掲載記事 スマホアプリRI-ppli(リプリ)で
集客力やCRMの精度向上を支援

※当記事は、株式会社ストアーズ社の許諾を得て転載しています。
掲載日:2019年11月1日

 アイティフォーは今秋、会員証の発行やイベント情報・クーポンなどのPUSH 通知を実現するスマートフォンアプリ「RIーppli(リプリ)」の提供を始める。既存の小売業向け基幹システム「RITS(リッツ)」やインターネット通販サイト構築パッケージ「ITFOReC(アイティフォレック)」と連携させれば、来店や買上げの頻度など顧客の履歴を踏まえてPUSH 通知を配信できるのが強みだ。同社の調査によると、小売業者が使うアプリの大半は、通知を送る対象を絞り込む方法が年齢や性別など一部に限られ、精緻な「CRM」は難しいという。導入や運用に必要なコストも、主なパッケージ・ベンダーでは最少に抑えた。百貨店業界では近年、三越伊勢丹や大丸松坂屋百貨店、島屋、東急百貨店、近鉄百貨店らが相次ぎスマホアプリを配信。時代の変化に合わせてICT(情報通信技術)を採り入れ、顧客との接点を増やす狙いだ。ただ、郊外や地方の百貨店は、独自にスマホアプリを開発する費用を捻出しづらい。そうした百貨店を多く顧客に抱えるアイティフォーが、高機能で安価なスマホアプリを供給。百貨店との取引を15社(今年9月現在)から20社に引き上げる。

保有率は約65%に到達、シニアも約6割が使う

 スマホは急速に普及し、今では高齢者も扱う。総務省が今年7月に公開した「令和元年版 情報通信白書」によれば、2018年の「スマートフォン保有率(個人)」は64・7%を記録。モバイルマーケティングデータ研究所の18年10月の調査では、シニアの約6割がスマホを使うと判明した。もはや「お客様の大半が中高年で、スマホ向けのウェブサイトの構築やSNSでの情報発信などは将来的に検討する」という静観は通用しない。新客を開拓し、既存顧客の流出を防ぐためには“スマホ対応”が急務だ。

 郊外や地方の都市に居を構える百貨店も手を拱くばかりではない。「ツイッター」や「インスタグラム」、「フェイスブック」などにアカウントを開き、情報の発信を積極化する。しかし、閲覧者の数や関心の有無の目安となる「いいね!」は少なく、売上げへの貢献は見えないのが実状だ。 アイティフォーの小玉敏明取締役常務執行役員は「使い方に工夫の余地がある」と指摘する。そして、それをサポートするのがRI-ppliだ。

RI-ppliのPUSH機能通知

 “自前”で開発したスマホアプリ・RI-ppliは、主に「会員証発行機能」、「来店ポイント付与機能」、「PUSH通知機能(セグメントPUSH、GPS×ジオフェンスPUSH)」、「コンテンツ登録→ポップアップ→画面表示機能」、「マイページ機能(購入履歴・ポイント残高等表示)」、「店舗検索機能」、「クーポン機能」、「WebView連携機能」からなる。

 会員証発行機能は、文字通り会員証の役割を果たす。アプリをダウンロードした人に会員証を発行し、仮会員として登録。直後から買い物でポイントを貯められる。ポイントやネット通販の利用には住所や名前などの登録が必要で、販促に生かせる個人情報が自然と集まる仕組みだ。

会員証機能

 来店ポイント付与機能では、店舗やネット通販で商品を購入する以外でのポイントの付与が可能。多くの小売業者が来店するだけでポイントを付与する時代だが、例えばイベントごとに設定すれば、集客力を高められる。RITSやITFOReCと連携させれば、通常のポイントとの合算も容易だ。

 PUSH通知機能では、特定の顧客だけに情報を発信できる。RITSやITFOReCの簡易分析機能などで顧客をセグメント化してクーポンを配布したり、店舗の緯度や経度を設定して顧客が近付くとGPSで検知して自動的に特典を与えたり、自由自在だ。上野慎一流通・eコマースシステム事業部営業推進部シニアスペシャリストは「情報やクーポンなどを送る対象を細かく分けられず、『全員』、『女性限定』、『男性限定くらいのアプリが多い中、RITSやITFOReCと連携させたRI-ppliでは年代やエリアはもとより、『●日から▲日までに■を買った人』という細かい指定も可能。販促の精度を上げられる」と自信を示す。

 コンテンツ登録→ポップアップ→画面表示機能は、各ショップのブログなど登録したコンテンツを起動時にポップアップで表示。画面をクリックすると、指定したウェブサイトに遷移するようにもできる。PDFにも対応しており、チラシも載せられる。上野氏は「来店や商品の購入を促すためには、情報発信の頻度が重要。RIーppliは誰もが簡単にコンテンツを追加変更出来るので、コンスタントな情報発信が可能になる」と強調する。

 マイページ機能では、顧客の名前やメールアドレス、購入履歴、ポイントの残高などを表示。店舗検索機能では、GPSで近い店舗や店舗までの道筋が分かる。クーポン機能では、アプリで独自のクーポンを発行できる。クーポンは利用回数、利用可能な時間、有効期限、対象などの設定も簡単だ。WebView連携機能では、ウェブサイトなどをアプリ内で表示。ネット通販と連携させておけば、アプリから商品を購入できる。

投資でなく販促費、デジタル化を奨励

 いずれの機能も、百貨店から専門店、量販店まで幅広い企業に支持されるアイティフォーが厳選。小売業者が提供するアプリに欠かせない機能を網羅した。小玉氏は「百貨店業界の取り組みは遅れている。アプリによる販促は進化の一途で、数多くのアプリの中から自社のアプリを立ち上げてもらえるように、ゲームや抽選などの要素を盛り込む企業も珍しくない。アプリを立ち上げてもらえるかどうかは、来店頻度や売り上げを左右する。今やスマホアプリはタイムリーに顧客とつながるツールであり、One to Oneの武器として不可欠である」と警鐘を鳴らす。

 販促の“デジタル化”が遅れる背景には、費用対効果がある。目に見えて数字が変化する売場の改装と異なり、デジタル化による恩恵は測定しづらい。結果、投資に及び腰になる。ただ、新聞の購読率が減少を続け、いつまでも折込チラシには頼れない。ダイレクトメールも、20代をはじめとする若年層には響きづらい。小玉氏は「デジタル化を投資でなく、販促費と捉えるべき。ある専門店は1000万円でもシステムに投資する。そこに価値を見出すからだ」と発想の転換を促す。

 RI-ppliの初期費用と月額はRITSとの連携版が998万円と25万円、ITFOReCとの連携版が598万円と20万5000円。主なパッケージ・ベンダーでは最安値で、折込チラシの費用などと比べても割安だ。「百貨店向けではナンバーワンパッケージ・ベンダーと自負している」(小玉氏)。今回アイティフォーは、専門店などの異業態のノウハウをRI-ppliに注入した。10月には大手百貨店でRITSが稼働する。着実にユーザーを増やしており、初めて手掛けるスマホアプリも注目の的だ。